【はじめに】
「講師なんて邪道だ」「演奏で食べていけない人の逃げ道だ」と言われたことはありませんか？
あるいは「音大卒じゃないと音楽を教える資格なんてない」と暗黙のプレッシャーを感じている方もいるかもしれません。
でも、本当にそうでしょうか？
趣味で音楽を続けてきた方が音楽講師を目指すことに対して自信を持てるように、「音楽を教える仕事」の本質と現実、そしてオンライン音楽講師という新しい働き方について一緒に考えてみましょう。
【1】音楽講師は「邪道」なのか？──その言葉の裏側を読み解く
まず最初に、「講師で稼ぐのは邪道だ」という考え方は、どこから来ているのでしょうか？
これは、多くの場合「演奏で生きていくことが最も純粋で高尚」という価値観から来ています。確かにプロの演奏家として第一線で活動するのは素晴らしいことですし、誰もが憧れます。
しかし、それはほんの一握りの人だけに許された道です。音大卒でも、演奏だけで安定した生活を送れている人は全体の5%以下だと言われています（※地域差・分野差あり）。
では、その他の95%の人は何をしているのでしょうか？
実は、演奏活動と並行して指導をしたり、音楽以外の仕事をしながら演奏を続けたりしているのが現実です。つまり、「講師業」は決して邪道ではなく、音楽の世界で生き続けるための重要な選択肢の一つなのです。
【2】音楽講師に音大卒は「絶対条件」なのか？
次に、「音大を出ていないと教えてはいけない」という風潮について考えてみましょう。
もちろん、音大で専門的な教育を受けた経験は武器になります。しかし、それが絶対条件かというと、まったくそんなことはありません。
たとえば、以下のようなケースでは音大卒でなくとも優れた指導が可能です。
- 長年にわたって趣味で楽器を続けてきた
- コンクールや発表会で実績を積んできた
- 子どもや家族に教えてきた経験がある
- 自分が音楽で救われた体験がある
むしろ、こうした「地に足のついた経験」は、生徒の立場に寄り添った指導につながります。生徒にとって大切なのは、「この人から学びたい」「続けられそう」と思えることです。
【3】音楽講師に本当に必要なスキルとは？
音楽講師として必要なスキルは、実は以下の3つが主軸です
①「聴く力」と「共感力」
生徒が何につまずいているのか、どんな想いで学びたいと思っているのかを、丁寧に聴き取る力。
②わかりやすく伝えるコミュニケーション力
難しいことをやさしく、できるように導く指導力。
③継続のモチベーションを与える人間力
「また来たい！」と思ってもらえる魅力や安心感。
これらは、音大で学ばなくても、社会人経験や子育て、人生経験の中で自然と身についていることが多いのです。
【4】それでも不安なあなたへ：他人の声より、自分の声を聴こう
私たちはどうしても「身近な音楽仲間」「先生」「元同級生」などの目が気になります。SNSでは華々しい演奏家の投稿を見て、つい自分と比べて落ち込むこともあるでしょう。
でも、ここで一つ大切な問いをしてみてください。
「私はなぜ音楽を続けてきたのか？」
- 誰かに喜んでもらえた時のあの気持ち
- 苦しい時にピアノに向かって心が落ち着いた記憶
- たった一人でも「ありがとう」と言ってもらえた瞬間
それが、あなたの音楽の原点です。
他人の評価や資格ではなく、あなたの中の音楽を愛する気持ちこそが、講師としての最大の資格です。
【5】オンライン音楽講師という新しい選択肢
これまでの音楽教室と違い、今はインターネットを使って全国どこからでも生徒に教えることができます。
たとえば、こんな人が生徒になり得ます：
- 地方で近くに教室がない人
- 転勤族で継続したレッスンが受けられない人
- 小さな子どもがいて外出が難しい人
- 海外在住で日本語のレッスンを探している人
オンラインなら、家から出ずに「時間」と「場所」に縛られず、自分の生活に合わせて教えることができます。
【6】実際の収入モデル：現実的な数字を知っておこう
以下はあくまで一例ですが、オンライン音楽講師の収入例を紹介します。
■1レッスン40分・5,000円で週3人教えた場合
→月6万円（年間72万円）
■週5人（1日1人ペース）
→月10万円（年間120万円）
■1日2人（週10人）
→月20万円（年間240万円）
これに加えて、定期的なグループレッスンや講座などを組み合わせれば、月30万円以上を実現している講師も少なくありません。
「本業としてフルで働く」か「副業・育児の合間に細く長く続ける」かは、自分のライフスタイル次第です。
【7】最後に：夢をあきらめないあなたへ
「音楽講師は邪道だ」
「資格がないとダメだ」
「今さら目指しても遅い」
そう言う人たちは、あなたの人生の責任を取ってはくれません。
あなたの音楽の価値を、一番知っているのはあなた自身です。
誰に何を言われても、自分が心から「この生き方が好き」と思える道を選んでください。音楽を愛し、誰かとその喜びを分かち合いたいという気持ちがあるなら、あなたは立派な音楽講師です。
【あとがき】
オンライン時代は、挑戦する人の背中を押してくれる時代です。勇気を出して、一歩踏み出してみてください。そしてあなたの音楽を、必要としている人に届けていきましょう。
